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【5】 おしまいのひ


きょうはラマダンあけだから
おかあさんはいちばにごちそうのざいりょうをかいにいった。

ぼくたちはごちそうがたのしみで
おうちのそとでともだちとごはんのことをはなした
それに ラマダンあけのおまつりのよるはきれい
ちょうちんがふわふわとまちをてらす

まるで しんだひとのたましいみたいだよね
とチグリスはいう

まるで ひとのきもちみたいにあったかくてかなしいよね
とユーフラテスはいう

ぼくたちは よるのごちそうとおまつりのことをかんがえてわくわくした
みんなでたべるごちそう くらやみをてらすあかり
せかいはたのしいことであふれているようにおもえる
それってとってもうれしいことだよね

バリバリバリってそらがひきさかれたようなおとがした

ぼくたちはてをつないでそらをみあげた
つきのひかりのとどかないところにいるにんげん
つきのひかりのようにまっしろなかおにあおいめのにんげんののった
てつのかたまり

そのしゅんかん だいちがさけぶおとがした

つめたい てつのあめがふりそそぐ

ぼくたちはにげた
はなればなれにならないようににげた

ナサクはてつのかたまりにいしをなげた
でも ナサクはてつのあめにあたってうごかなくなった

きっと おとうさんも こんなふうにころされたんだ
つぎのしゅんかん ぼくたちにも てつのあめがふってきた

ぼくたちは てを ぎゅっと にぎった
はなればなれに ならないように いつまでも いっしょに いられるように

だって せかい は ぼくたち と それいがい だから
ぼくたち ふたりいれば それが せかい だから
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